コパチンスカヤが本当に発表したかったのは?
現代音楽は難しそう。
そのために手を出せなかった盤ですが、
コパチンスカヤの魅力に抗しきれず、
購入しました。
naiveレーベルから出されている
コパチンスカヤの名盤は、
廃盤になったのか
流通していないものが多く、
入手に苦労しました。
1 バルトーク:
ヴァイオリン協奏曲第2番
2 エトヴェシュ:セヴン
3 リゲティ:ヴァイオリン協奏曲
コパチンスカヤ(vn)
フランクフルト放送交響楽団(1,2)
アンサンブル・モデルン(3)
エトヴェシュ(指揮)
2012年7月,2011年10月録音
2曲目のエトヴェシュについて、
私は全く知りませんでしたが、
当盤の指揮者でもあります。
調べてみると、本作品「セヴン」は、
スペース・シャトルの打ち上げ失敗で
亡くなった七人の宇宙飛行士に
捧げられた鎮魂の曲なのだとか。
まだ聴き込んでいないので、
曲の全貌がよく捉えられないのですが、
ところどころにヴァイオリンの
自己主張できるような部分が散見され、
今後、他のヴァイオリニストも
取り上げるのではないかと思われます。
3曲目のリゲティの名前は
知っていましたが、
曲はほとんど聴いたことが
ありませんでした。
こちらも簡単に理解できるような
曲ではありませんが、
緊迫感があり、
ヴァイオリン独奏部分も難しそうです。
エトヴェシュとリゲティについては、
私は他の演奏との比較ができないため、
当盤について
あれこれ語ることができないのですが、
それでもコパチンスカヤが
気持ちよくヴァイオリンを
奏でていることは伝わってきます。
技巧が必要となる曲であることや、
表現の可能性の大きな曲であることを
考え合わせると、
両曲ともコパチンスカヤに
似合いの曲といえるでしょう。
さて、1曲目のバルトークの
ヴァイオリン協奏曲第2番ですが、
やはり刺激的です。
こちらも高い技巧を
要求される音楽なのですが、
私がこれまで聴いてきた
新旧のチョン・キョンファ盤、
ムター盤、シャハム盤、
ファウスト盤等と比肩する、
いやそれ以上の演奏だと感じます。
やや速めのテンポで
ぐいぐいと圧しきるような
熱い部分が数カ所あり、
魅了されてしまいました。
間違いなくこの曲の名盤として
指折られるべき仕上がりです。
それにしても当盤の構成は2枚組です。
「本命はエトヴェシュと
リゲティだったけど、
それでは売れそうにないから
両者の先輩であるバルトークを
つけました」というような
雰囲気さえ感じられます。
果たしてコパチンスカヤが
本当に発表したかったのは…?
(2020.12.26)