聴いて楽しいK.525

クラシックCDこの曲ベスト3 File-029

モーツァルト:セレナード第13番ト長調K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」

モーツァルトのオーケストラ曲は、
交響曲よりも
ピアノ協奏曲や管弦楽曲の方が
面白いと感じています。
いくつもあるセレナードや
ディベルティメントの中で、
最も有名なのがこの曲でしょう。
聴いて楽しいのはこの3枚です。

アニマ・ムジケ室内管弦楽団
ホルヴァート(指揮)(2014年録音)
〔Hungaroton〕

・ディヴェルティメントK.136
・ディヴェルティメントK.137
・ディヴェルティメントK.138
・アイネ・クライネ・
  ナハトムジークK.525

アニマ・ムジケ室内管弦楽団という
聞いたことのない楽団ですが、
調べてみるとこれがデビュー盤でした。
若手アンサンブルですが、
精度の高い音楽を聴かせてくれます。
もしかしたらメンバーは
ジャケットに写っている
17人だけなのかも知れません。
楽器の輪郭が
くっきりと聴こえてきます。
とにかく軽快な音楽が響き渡ります。
モーツァルトはこうでなければという
見本のような、
若々しいエネルギーに溢れた演奏です。

イングリッシュ・コンサート
マンゼ(指揮)(2003年録音)
〔Harmonia Mundi〕

・アイネ・クライネ・
  ナハトムジークK.525
・アダージョとフーガK.546
・メヌエットハ長調K.485a
・セレナード第6番K.239
  「セレナータ・ノットゥルナ」
・音楽の冗談K.522

古楽オーケストラとしては
早くから存在していた
イングリッシュ・コンサート。
指揮者がピノックからこのマンゼに
交代した直後の収録でした。
切れのよい演奏です。
「夜の音楽」と題したプログラムも
素敵です。
K.525から軽やかに始まった音楽は、
中盤の落ち着いた雰囲気から
最後は「音楽の冗談」で
ひねりをきかせて終わります。
K.525から一つながりの音楽ドラマを
聴いているような気分です。
そうした見事な構成も
聴きどころの一枚です。

ターフェルムジーク・バロック管弦楽団
ブルーノ・ヴァイル(指揮)
(1991年録音)〔Sony Vivarte〕

・歌劇「イドメネオ」序曲K.366
・歌劇「後宮からの逃走」序曲K.384
・歌劇「劇場支配人」序曲K.486
・歌劇「フィガロの結婚」序曲K.492
・歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲K.527
・歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」
  序曲K.588
・歌劇「皇帝ティートの慈悲」
  序曲K.621
・歌劇「魔笛」序曲K.620
・アイネ・クライネ・
  ナハトムジークK.525

こちらも古楽オーケストラ。
オペラの序曲集との組み合わせの妙が
素敵です。
マンゼ盤とは異なり、
K.525が最後に配置されています。
楽しい楽曲が続いた後に
締めの一曲としてK.525が登場します。
この構成によって、
K.525がさらに素敵に
聞こえてくるから不思議です。
K.525はやや速めのテンポで
きびきびと進行し、
素敵な仕上がりです。
この盤は、ジャケットが
VIVARTEレーベル発足当時の
統一デザインのものであり、
これも気に入っています。
ジャケットは大切です。

さて、近年の録音のもの、しかも
小編成でフットワークの軽い楽団の
演奏に偏りました。
これは好みの問題であり、
そのほかにもこの曲には
素敵な演奏が目白押しです。
ベーム・ウイーンフィル盤は
立派すぎるほど立派です。
イ・ムジチ合奏団も楽しい演奏であり
長らく愛聴しています。
カラヤン・ベルリンフィル盤
60年代、80年代の2つも、
洗練された素敵な演奏です。
小澤・サイトウキネン盤は
弦の美しさが際立っています。
セレナーデとディヴェルティメントを
すべて収録した10枚組を完成させた
ヴェーグの演奏も忘れてはなりません。
次はどんな素敵なK.525に出会えるか、
楽しみは尽きません。

(2020.11.8)

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