百花繚乱ともいえるK.467

クラシックCDこの曲ベスト3 File-018

モーツァルト・ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467

モーツァルトは何を聴くべきか?
交響曲は後回しにして
器楽曲とピアノ協奏曲を聴くべきだと
私は思っています。
器楽曲では
クラリネット五重奏を取り上げました。
ピアノ協奏曲なら
なんといっても第21番K.467でしょう。

第2楽章が
映画「みじかくも美しく燃え」に
使われたたために、この曲がの人気が
突出して高くなったのですが、
確かに一番の聴き所です。
ピアノの名人たちの演奏は、
この第2楽章がどれも美しいのですが、
私はこの曲にはもっと
いろいろな魅力があると思っています。

グルダ(ピアノ)
アバド(指揮)ウィーン・フィル(演奏)

グルダのピアノが
みずみずしい躍動感に満ちています。
第2楽章でも
甘い旋律にもたれかかることなく、
明快に弾ききっているのが魅力です。
アバドが出しゃばらすに
しっかりと脇役に徹して
伴奏しているのも好印象です。
ウィーン・フィルの演奏の美しさも
言うことなしです。
アバドはやはり独奏者を引き立て、
協奏曲をしっかりと聴かせてくれる
名指揮者です。

ハイオウ・チャン(ピアノ)
ファイ(指揮)
ハイデルベルク交響楽団(演奏)

私が最近よく聴いているCDです。
アバドと異なり、
指揮者・ファイがぐいぐいと
引っ張っている演奏です。
ピアノのチャンも若いのですが、
ファイを御するまではいっていません。
もう一つ前面に出てもいいのではと
思ってしまいます。
ある意味、
協奏曲らしからぬバランスです。
ファイがどこまでも攻め込む演奏。
極めてアグレッシブです。
でも、そこがなんともいえない魅力です。
この曲はこんな響かせ方もできたのか!
発見の多い演奏です。

スホーンデルヴルト
(フォルテピアノ・指揮)
クリストフォリ(演奏)

驚くべき演奏です。
何と各パート1名ずつの
小編成によるモーツァルト。
スホーンデルヴルトは、
ベートーヴェンピアノ協奏曲全集でも
同様の試みを行い、
大成功しているのですが、
モーツァルトのピアノ協奏曲も
進行中です。
当盤はその第一弾でした。
楽器一つ一つの輪郭が明確になり、
まるで
初めて出会う曲のように聞こえます。
まだ聴いていない方には
ぜひ薦めたい一枚です。

モーツァルトのK.467は名盤揃いで、
この3枚以外にまだまだ控えています。
グルダ盤と
バレンボイム盤、内田光子旧盤の
どれを選ぶか迷いました。
チャン盤は
賛否が分かれると思います。
スホーンデルヴルト盤のような
古楽器演奏なら
ビルソン盤もありでしょう。
百花繚乱ともいえるK.467です。

(2020.8.6)

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